『アートの軌跡』~ふるさとの風・水・土・光のなかで~
兵庫県では、「兵庫が育む こころ豊かで自立した人づくり」を基本理念とした第2期「ひょうご教育創造プラン(兵庫県教育基本計画)」に基づき、子どもたちの学びや成長を支える兵庫の教育の実現に取り組んでいます。
子どもたちの「生きる力」を育み、多様化する諸課題に対応していくには、教師一人一人が常に豊かな発想と限りなき情熱をもって、子どもたちとの強い信頼関係を築き、創意工夫と活力に富んだ教育活動を学校全体で展開していくことが大切です。
近年、社会情勢が急激に変化し、子どもたちや学校を取り巻く状況は大変厳しいものになっています。このようななかで、教育においては主体的に学び、他者と協働しながら、自ら新しい知識を生み出したり、新しい課題を発見し解決したりする力をもち、創造的に豊かに未来を切り拓いていく人材の育成が急務となっています。
次期学習指導要領では、育成すべき資質・能力を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱とすることが示され、「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」の視点が追加されています。また、主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善の視点として「アクティブ・ラーニング」を全教科で導入すると記されています。これらは、いずれも造形教育において従来から大切にしてきたことであり、だからこそ私たちは一層、真摯に授業改善に努めなければなりません。
また、図画工作科・美術科では、「感性や想像力を働かせて形や色、イメージなどの造形的な視点をもち、生活や社会と係わる資質・能力」を育成することなどが示されているのではないかと見られています。生涯にわたって学び続け、ふるさとや社会と係わり、自分たちの生活を見つめる力がこの教科にも求められているといえます。
幼・小・中それぞれの発達段階において、子どもたちは表現や鑑賞活動を学びの連続性のなかで行ってきています。子どもたちの学びを生涯学習へとつなげる、つながっていくことを願い、大会テーマを『アートの軌跡』としました。
ふるさとについて学び、ふるさとを体感し、ふるさとを愛するこころを育てることは、人々との絆を深め、その人の人生の底力となり、生きる力の基盤となります。また、そこでの夢や志をもった生き方は、自立して社会に参画することにつながります。自立する力を育むことが、これからの未来を拓き、こころ豊かにたくましく生きる幼児・児童・生徒を育成する核になると考えます。
本大会は、城下町「播磨の小京都『龍野』」での実施です。地域の特色や地域の素材、風情ある空間も活動のなかに取り込み、子どもたちがふるさとの風を感じ、揖保川の清流に親しみ、播磨平野の土を踏みしめ、ふるさとのきらめく光を作品に取り込みながら、作品を作ることに熱中する姿に思いを馳せ、サブテーマを「~ふるさとの風・水・土・光のなかで~」としました。この教科に携わる者として、子どもたちが人生をこころ豊かに生きるための人格形成において、なくてはならない造形教育の果たす役割や造形教育の重要性を発信し続けていかなければなりません。今日の研究大会で展開される『アートの軌跡』が、その一助となることを願ってやみません。